ニワトリのおなら
むかしむかし、ある家に、一羽のニワトリがいました。
ある日の事。ニワトリが庭の木にとまって鳴いていると、その下をキツネが一匹通りました。
キツネはニワトリを見ると、何とか取って食いたいと思い。
「ニワトリさん、とてもいい声ですね。でも、もっと下で鳴けば、もっといい声が出ますよ」
キツネの言葉に、ニワトリは下の枝に飛び移って鳴きました。
するとキツネは、
「ニワトリさん、前よりもずいぶんいい声になりました。でも、もう一つ下がらないと。」
ニワトリは喜んで、もう一つ下の枝に止まって鳴きました。
ところがそこはキツネの頭のすぐ上だったので、ニワトリはたちまちキツネに捕まってしまいました。
「ヒッヒヒヒ。バカなニワトリさん。では、いただきまーす」大きな口を開けるキツネに、ニワトリはあわてて言いました。
「まっ、待ってください、キツネさん。実は、おらの家でも今夜おらを食うと言っていたから、おら、闘う武器として針を一本盗んでおいたんだ。尻尾のところに隠してあるから、おらを食うんだったらその針を抜いてからの方がいいよ。」
「そうか、それはご親切に」
キツネはさっそく、尻尾のまわりを探してみました。
するとニワトリはキツネの顔めがけて、
「ブッ!」
と、おならを浴びせました。
「わあっ~!」
キツネがビックリして手をはなしたすきに、ニワトリは木の上に逃げてしまいました。